大会長挨拶 長年にわたり懐疑と疑惑の目で見られがちであった催眠が、画像診断や脳波測定などといったニューロサイエンス手法の応用によって、科学的に解明される時代がついに到来しました。催眠暗示による知覚の変化、心的葛藤の抑止、理性と情動の分断など、これまで不可解と思われてきた現象が単なる見せ掛けやクライアントの思い込みではなく、大脳の諸機能と密接に関与しているという事実が臨床的に意義深いことは言うまでもありません。実験催眠が明確にするトランスの本質とメカニズムを実践場面でいかに応用するべきか?多数ある催眠テクニックのうち、果たしてどれが特定の障害に効果を奏するのか?催眠治療のエビデンスが叫ばれる今日、こうした問いかけは臨床家一人ひとりに与えられたチャレンジそのものに他なりません。 こうした現状を反映させて、11月24日に開催される第9回日本臨床催眠学会学術大会の基本テーマは『臨床催眠の多様性を追求する』に決定いたしました。催眠の有効性がすでにエビデンスとして確立された適応症、これまでの事例から治療効果が期待される数々の適用障害、さらには斬新的な催眠の活用や、これまで知られていなかった分野への応用などについても積極的に考察を加えてみたいと考える次第です。会員の皆様もふるってのご参加を期待しながら、挨拶の言葉とさせて頂きます。 平成19年9月2日 大谷 彰(第9回学術大会大会長)
平成19年11月24日(土) 9:00〜17:00
大手前大学 伊丹キャンパス
基本テーマ 『臨床催眠の多様性を追求する』
(大会スケジュールの一部が変更になりました10/22) 会長講演 『臨床催眠の多様性とは何か?』(公開講演) 臨床催眠における多様性には、(1)催眠そのものに内在する多様性、(2)患者(クライアント)レベルにおける多様性、および(2)治療者(セラピスト)レベルの多様性、の3種の概念が考えられる。(1)の催眠そのものにまつわる多様性としては、数々の理論やテクニック、催眠の適応症などが挙げられ、(2)のクライアントレベルとしては、言うまでもなく催眠感受性、すなわち催眠暗示に対する反応の多様性が当てはまる。最後(3)のセラピストの多様性については、治療者の態度やスキルレベル、さらにはパーソナリティー要因といった広義の要素が考慮されてよいであろう。こうした多様性は催眠を含めた臨床活動、特に最近脚光をあびたエビデンスに基づく治療においては極めて重要とされ、これを無視することはかつてキースラーが「画一性神話」(the Uniformity Myth, Kiesler, 1966)と命名した過ちを犯すことにもなりかねない。本講演では最新の研究結果を踏まえながら、臨床催眠の3種の多様性を考察してみることにする。 特別講演 『催眠の多様性と統一理論に関する私見』(公開講演) 近年の脳科学への関心の高まりと進歩は催眠にも一条の光を与えた。 その卓越した効果にもかかわらず科学的根拠を主張できなかった催眠にとっては正に鬼に金棒であり、これで催眠の基礎ならびに臨床研究に飛躍的な進歩が期待出来そうである。しかし、これら一連の催眠に伴う脳の生理的変化はほぼ共通して催眠感受性の高い被験者の催眠トランス状態に限って認められ、暗示やプラセーボ効果のような状態には認められなかったとされている。この事実は催眠トランスの特徴を際立たせているのではあるが、状態論者のなかには社会心理的要因による状態像と峻別しようとする向きもある。このことは中等度以下の催眠感受性者をも治療対象とせざるを得ない臨床催眠の現実にとって重大な問題である。このような視点から、覚醒暗示に近い状態像もふくめて様々なレベルと質の異なる多様な状態像を総括的に想定する催眠複合体とでも言うべき概念がいま必要なのかも知れない。そして、その多様性を表現できるなんらかのスキームが求めれるであろう。これまでの論文で常套的に用いられてきた”催誘導をおこなった”という記述は何をも伝えていることにはおらず、どのような人に、どのようにして、どのような催眠状態が得られたかに言及しなければ治療者間の交流は出来ないであろう。さらに、この催眠複合体を通底する統一理論にまで到達したいものである。 以上、身の程知らずの大命題をかかげてしまった。しかし、志は高く、である。
一般演題(発表20分 討論 10分程度)を発表される方は、2007年11月12日までに、演題、発表者名・所属・連絡先、300字以内の抄録を日本臨床催眠学会事務局まで、お知らせください。なお、発表は正会員に限ります。連名発表者は、申し込み当日までに正会員として入会申請をお済ませください。 (締め切りを11/2から11/12に延長いたしました)
本大会への参加は、日本臨床催眠学会の会員に限ります。本大会への参加は、日本臨床催眠学会の会員に限ります。ただし、公開講演(特別講演、会長講演)および公開シンポジウムについては、非会員も参加できます。非会員の参加資格は、日本学術会議登録の諸団体の会員、または医学・心理学関連領域を専攻する学生および大学院生に限ります。
正会員……5,000円(予約参加) 当日参加 6,000円
郵便振替口座 振込の際には必ず個人名で振り込んでください(勤務先名で振り込まれますと、どなたからの振り込みかわからずトラブルの元になります)。
学術大会・研修会参加申込先
学術大会演題申込み先
第22回ケースカンファレンス 第22回ケースカンファレンスが同じ日の同じ会場で、学術大会後に開催されます。現在、事例提供者を募集しておりますので、希望のある方はご連絡をお願いします。
平成19年11月24日(土) (時間未定)
大手前大学 伊丹キャンパス
未定(募集中)
未定
2,000円
本学会員のみ参加可能 ビジター参加不可
ケースカンファレンスの参加申込締切りは平成19年11月2日です。 学術大会・研修会申込みフォームからお申し込みください。あるいは、申込フォームをプリントアウトし、必要事項をご記入の上、FAXまたは郵便にて日本臨床催眠学会事務局までお申し込みください。電話での対応はしておりませんのでご了承ください。また、事例提供についてのご連絡も、日本臨床催眠学会事務局までご連絡をお願いします。
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